癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
ロエルの執務室

「ニック、これを見てくれ。」

ロエルは書簡をニックに渡した。
ニックは軽く目を通すと、

「風の国か。やっぱりベンじいさんは風の国にいるんだな。」

「やっぱり?」

「ああ、ベンじいさんの足取りを追っていたら、風の国に入っていくのを見たと言う証言も出て来てたんだ。ただ、決め手に欠けてたんだ。」

「これで、ソフィアのおじいさんを連れ去った犯人は風の国のバンズだと確証が持てた。」

「すぐに行って、ベンじいさんを助けてくる!」

「待て。書簡の返事を出している。その反応を見てからだ。」

「どんな?」

そう言うと、ロエルは黙って返事の控えの紙をニックに差し出した。
ニックは手に取り読み始めると、

「ソフィアはロズウェル王の婚約者だから引き渡しに応じられない??一体どういうことだ?ソフィアはいつ婚約者になったんだ?」

ニックは明らかに動揺した様子でロエルに問いかける。

「昨日だ。ソフィアを守るにはこうするのが1番いいんだ。」

「それはソフィアも望んだ事なのか?」

ニックはロエルの胸ぐらを掴み、問いただした。

「ああ。ソフィアの了承も得ている。今晩、近しい者達に、ソフィアを晩婚約者として紹介する晩餐会を行う。」

それを聞くとニックは手を離し、

「俺は夜はねぐらに帰るよ。勝手にやってくれ。」

「ニック、すまない。ソフィアを奪うような真似をして。」

「何を言っている。そもそも竜人と人間は一緒にはなれない。いずれこうなることは分かっていたことだ。それでも俺の使命はソフィアを守ることだ。風の国に行く時は教えてくれ。ベンじいさんを一刻も早く助けたい。」

「分かってる。俺も気持ちは同じだ。」

と、ロエルが言うと、ニックは、黙って部屋を出て行った。


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