癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
ソフィアはロエルを見上げて笑みをこぼした。

「ロエル様、私が見てたの覚えててくれたのね。もっと見たいと思っていたの。嬉しいわ。」

「良かった。喜んでもらえて。」

ロエルもソフィアの笑顔を見て微笑んだ。


旅芸人達の舞台が始まった。

顔を白く塗ったピエロが、

「まずは、道化師達の鮮やかな技をご覧くださいませ~」

というと、自分たちで音楽を奏で、若い男達が、次々と軽やかに回転したり、転がる大きな玉に乗ったりと、色々な技を披露した。

技を決める度に拍手と歓声が沸き起こる。

「続きまして、マルコ一座の華やかな乙女達の踊りをとくとご覧くださいませ。」

美しい若い女たちが、セパレートの衣装と薄い衣を身にまとい、華麗に優雅に踊り出した。薄い長い衣は、まるで羽のように動き、空を舞っているような美しい動きで、観客を魅了した。

そして、その中の踊り子の一人がソフィアの方に踊りながらやってきてソフィアの手を取って舞台に連れて行った。

「えー?!」

ソフィアは一瞬何が起こっているのかよく分からなかった。

そして、ソフィアに小声で話しかけてきた。

「私が合図をしたら、このカーテンの裏に言ってください。」

ソフィアはとりあえず頷いた。

ピエロが、

「では、今から美しいお姫様を一瞬で消して見せましょう!」

と言うと、踊り子達はソフィアの前に大きな布を広げ、ソフィアをすっぽり、客側から見えなくした。

「さ、このカーテンの裏に」

ソフィアは言われるまま身をかがめながらカーテンの裏に入った。

「では、皆様、一緒に10カウントしてください。10、9、8、7…。」

と、カウントが始まった。そのカーテンの裏では、別の踊り子が、ソフィアに早口で話しかけてきた。
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