【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
何のことなのか、見当もつかない。
すっかり頭から抜けてしまっていた私は、壮亮が言う通り、驚くほどのろまなのかもしれない。
気づかない私に遼雅さんは笑っていた。笑いながら唇を私の耳元に寄せて、誑かすように囁いてくる。
「昨日言ったでしょう。……俺はきみを抱きたいんです」
隠すつもりのない情熱で、胸が詰まってしまう。
何も言えない私の瞳を見て、誰に願うこともなく、当然のように唇にキスをしてくる。
やわく触れて、もう一度食むように触れさせる。無意識に遼雅さんの胸についた私の手を取って、そうあるのが当たり前みたいに繋ぎ合わせる。
「ひゃ、まっ、て……」
「きみは、待っていてくれなかったのに?」
横を向いて抱きしめられていたはずが、私の手を取ってくるりと方向を変えた人が、視界いっぱいに映っている。
押し倒されてしまったと気づくのに、すこし時間がかかってしまった。それも、両方の手を恋人のように繋ぎ合わされたら、衝動的に理解してしまった。
「俺も待たないで、今すぐもらおうかな?」
「遼雅さんっ、だ、だめです」
今、何時だろう。
焦って声をあげたら、不満そうな人が塞ぐように口づけてきた。良くないことが起ころうとしている。
朝から本気で仕掛けられたことがないから、狼狽えて仕方がない。