【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「お前も座って食え」
「うん、ありがとう。お金払う」
「いい。それよりお前、ちゃんとわかってんのか?」
ウエットティッシュで手を拭きとって、フィルムを剥がしたおにぎりに齧りついた。
同じように食べている壮亮の声で、顔が持ち上がる。何のことを言っているのかわからずに首を傾げたら、またいつものようにため息を吐かれてしまった。
「お前マジでバカだな。渡だよ」
「部長?」
「どう考えてもお前のこと見る目やべえだろ。気づかねえの?」
「やばい、というのは、どういう?」
「はあ? お前マジか? いや、そうだよな……。じゃねえとほいほい二人になんねえか」
「うん?」
「あいつ、柚に変な執着してるだろ。昼休みに倉庫呼び出してくる男、ろくなやついねえよ」
吐き捨てるような声だ。
心底気分が悪そうな壮亮の言葉で、さすがに意味がわかってしまった。
「あんまりよく思われてないのは知ってるけど、そういう変な意味は……」
「変な意味だろ、エロい目で見てんだろ。わかんねえの? お前マジでこえーわ。つーか橘は?」
「うん? 今は外勤中だよ」
「ちげえよ、あほか。……仮に契約だったとしても、一応結婚してんだろ? あいつに何とかしてもらえよ」