【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「ハラスメントとして訴えるかどうかは佐藤さんの自由ですが、私としては、大事な部下を守る手続きをしたいです」
「佐藤さんが受けた被害の状況を、ひとまず私に確認させてもらえませんか? もちろん、見せたくないというなら、違う方法で全力を尽くします」
「どんなやり方でも、佐藤さんを守らせてください。そのためにまず、現状を把握したい」
「私に力を貸してくれますか」
まっすぐな瞳に眩暈がしてしまいそうだった。あまりにもあたたかくて、胸が苦しくなってくる。
——この人のことが、たまらなく好きだ。
隠すこともできずに胸に突き刺さってしまった。
こんなにもまっすぐに信頼してくれる人を、どうして愛さずにいられるのだろうか。
「私の仕事を捌く力が、劣っているのかもしれない、です」
「それはない。佐藤さんを信頼します」
「どうして、言いきれるんですか……?」
まっすぐに信頼してくれている。人として、男性として、こんなにも惹かれてやまない人なんていない。
「それは……、上司に聞いてますか? それとも俺個人ですか」
「あ、えと、いえ。いいです。すみません、忘れてください」
確実に後者だった。自分に驚いている。上司として対応してくれている人に向かって、どんな顔をしていただろう。
急に恥ずかしくなって俯いたら、やわく笑う音が聞こえた。いつも、家で聞いているような、やさしくて、あまい笑い声だ。
惹かれるまま、視線が上がってしまう。