【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
鳥肌が立ってしまった。
サラダを盛り付け終わったらしい遼雅さんが、くすくす笑いながら隣に寄ってきてくれる。
鳥肌をおさえようと腕をさすっていれば、後ろからすっぽりと抱きかかえられてしまった。
片手で火を止められる。もう片方の手で、持っていたお玉から手を剥がされて、耳元にそっと囁かれた。
「ごめん、怖がらせちゃったね。……でも柚葉さん、怖いって感じるってことは、潜在的にしたくないことなんだと思うよ。だから、そういうことは、きみはしない」
まるで私がそうしない理由を、ずっと前から知っていたような口ぶりで、思わず首をかしげてしまった。抱きしめてくれている人が、私の反応にまた喉元で笑っている。
寒気がしていたはずなのに、抱きしめられたら、あたたかくて心地良ささえ感じてしまっている。
「そう、ですかね? でもわからないので、言ってください」
「はは、携帯見てみますか? 俺は気にしないですよ」
「い、いいです! なんかもう怖いです。信頼していますし、見て何をしたらいいのか……、わかりません」
「俺のことを管理するんじゃないですか?」
「遼雅さんは、私のモノじゃないですよ」
けろりと言うから、また心配になってしまう。
気軽に目の前に差し出された携帯の画面を手で隠したら「柚葉さんはかわいい」と笑って耳に口づけられた。
全てが橘遼雅のペースの上にある。