【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
やましいものなんて何もない。
姉に遼雅さんへのプレゼントの相談をしたりとか、どうしたら喜んでもらえるかを聞いたり、母に忘れてしまった料理のレシピを聞いて、遼雅さんに作ったりしていることくらいだろうか。
小さなことだから、遼雅さんならきっと笑ってくれるだろうと思う。信じてほしくて、ただそれだけの思いで画面を見せようとした。
ロックを解除しようとして、後ろから私を抱え込んだまま、遼雅さんの大きな手が画面をおさえるように携帯を握りしめてしまった。
「あ、」
「ストップ」
「……遼雅さん?」
「見ないから、しまって」
「み、てくれないんですか……?」
自分で口に出しておきながら、変なことを聞いてしまったと気づいた。私の声で、遼雅さんの言葉が固まってしまう。
遼雅さんから、何度か携帯を見ないかと言われたことを不意に思いだして苦笑してしまう。
あの時の遼雅さんも、私に信じてほしくて、さみしい気持ちだったのかもしれない。そう思ったら、すごく近くにいてくれている気がして胸がいっぱいになってしまった。
「されて嫌なこと、柚葉にはしないよ」
「でも、」
私は、遼雅さんになら、すこしも嫌じゃないと気づいてしまった。
それで遼雅さんの心が穏やかになるなら、見てほしいとさえ思う。けれど、見せられるほうとしては複雑な気分になることも知っているから、小さく笑ってしまった。