【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「どうして笑ってるんですか?」
「ふふ、だって……、遼雅さんも私も、携帯なんて見てもらっていいって思ってるのに、いざ見せられたら、悪いことしてる気分になるんだもん」
「……本当だ」
「ふふ、おんなじ気持ちでしたね」
携帯に触れている指先に手を重ねたら、あっという間にやさしくつなぎ合わされてしまった。
手に持っていた携帯は、ころりとフローリングに転がって、もう、私の頭の中から消えてしまった。
ただ遼雅さんだけが、側にある。
「柚葉を感じさせてくれたら、それでいい」
囁くような声が耳に擦れて、思わず身を捩った。くすぐったくて息を漏らしたら、機嫌のよさそうな遼雅さんが肩の上に口づけてくれる。
全部が遼雅さんのにおいに包まれて、胸がいっぱいで仕方がない。
「ん、ゆずは」
甘えるように私の耳に囁き入れて、遼雅さんのあつい指先が、トップスの裾からお腹にするりと侵入してくる。
もう自分の身体みたいに、よく知られている気がする。すこし触れられるだけで意味が分かってしまうから、慌てて遼雅さんの手首を掴んだ。
「あ、まって」
まだ、ご飯も食べていない。
口に出そうとしたら、遼雅さんのあまい声が耳に突き刺さってしまった。