【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
素直に告げたら、どこまでも胸があたたかくなる。はじめからそうしていればよかった。ふいに思って、遼雅さんの胸にそっと隠した。


「あーもう、かわいいな。俺もだよ。ずっと柚葉だけで、どうにかなりそうだ」

「一緒ですか」

「ずっと一緒だといいね」


一緒でいられる努力を、たくさんしてくれるんだろう。遼雅さんに溺れてしまっても、きっと遼雅さんに助けてもらえる。

すてきな予感に頬が笑って、見つめあったらまた唇がくっついてしまった。


「すきです」

「よかった。俺もすきですよ」

「もっといっぱい、すきなんです」


たくさん知って欲しくて、欲張りになる。すきに際限はないのだと気づいて、おどろいてしまった。


「あはは、わかりました。全部知りたいから、教えて」

「ぜんぶ?」

「愛し合ったら、きっと全部わかるよ」


それは魅力的なお誘いだけれど、遼雅さんの腕があっさりと私の身体を抱き上げてしまったら、すぐに心が落ち着かなくなる。

どうにか言い訳を作りたくなるところは、そうそうすぐには変えられないみたいだ。


「ごはん、」


どうにかしようと呟いたのに、遼雅さんの綺麗な足が、開きかけの寝室のドアをすこし乱雑に蹴るのをみたら、もう戻れないことだけを予感している。


「まずはきみがいい」


橘遼雅は、どこまでもあまやかしてしまう、危険な旦那さんです。
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