【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
相当酔っぱらっているのだろう。
まだ木曜日なのに、頑張りすぎだ。どうにか疲れを癒してあげたいけれど、思い浮かぶ方法もない。
結局、自分がいつも家族にしてもらっていたことを思いついて、遼雅さんの頭に手を乗せてみる。
「よしよし、えらい、です」
「……うん?」
利口で、かしこくて、きれいに整えられたかわいい男の子みたいだ。
やさしく撫でてみれば、俯いていた顔を軽く上げて、とろけそうな瞳が上目遣いにこちらを見ている。
「遼雅さんは、今日のMVPです」
「MVP?」
「はい、今日も一日偉いです。佐藤はわかってます。でも、頑張りすぎは心配なので、今日ははやく眠ってください」
くりかえし撫でつけて、気持ちよさそうに目が細められたのが見えた。
すこしでも気持ちが落ち着くなら、私が遼雅さんのためになれることもあるのかもしれない。
「ああ、もう。……俺は怒ってほしかったのに、褒めてくれるんですか?」
「えっ、おこってほしいんですか」
初耳だ。
そんな趣味があったなんて知らない。唖然として手が止まったら、遼雅さんがすこし拗ねたような表情を作ってしまった。
慌てて撫でなおして、おかしそうに笑われてしまう。
気の抜けたような遼雅さんが、顔をあげてかすめるように唇にキスをくれる。