【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
ちゅう、とかわいらしい音が鳴って、胸があまく痺れてしまった。

ああ、まずいなあ。


遼雅さん、すごく、すきになってしまいそうだ。すきになってしまう。どうしたら、いいですか?


「ゆずはさんなら、怒られてみたいです」

「それは……、変わった趣味です」

「かわいい奥さんなら、どんな表情でも見たいでしょう」

「うーん……? じゃあ、怒りましょうか?」


なおもすこし屈《かが》んでくれている人を、撫でながら提案するようなことじゃない。

遼雅さんも同じことを思ったのか、小さく笑って頷いて見せてくれた。

まさか求められるとは思わずに、すこし考えてみる。その束の間に、ちゅう、と唇に熱が乗せられた。


「な、んでするんですか」

「あはは、考えている柚葉さんも可愛いから、つい」

「あまやかしすぎです」

「そう? 俺は結構自重してます」

「えっ」


喋りながら顔のあちこちにキスをされて、とうとう遼雅さんの唇を手で隠した。

掌をぺろりと舐められて「だめです」と睨みつけたら、いつものように、うれしそうな人が首をかしげていた。


「おこること、思い浮かびました」


言うまで仕掛けられ続けてしまうのはよくわかっている。

ようやく思いついて告げれば、すこし残念そうな遼雅さんが私の手首に触れて、あっけなく自分の口から引きはがしてしまった。

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