【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「はい、聞きます」
囚われた手は、なぜか遼雅さんの綺麗な指先に絡んでしまっている。
遼雅さんは恋人みたいに手をつなぐのが好きだと思う。それは、私がすきだから、そうしてくれているのかもしれないけれども。
「……寝てください」
「うん?」
「だから! 寝てください。私のことは、あまやかさなくていいので……、すぐにベッドに入って眠ってください」
お風呂に入って、すぐにあたたかいベッドで眠ってほしい。私の体温ではあまりベッドは温まらないけれど、ふかふかなのは間違いないから、ぐっすり眠れるはずだ。
ぐっと睨んで、ぽかんとしている遼雅さんと目が合う。
「……それは、おこってるの?」
「はい?」
「柚葉さん、今の怒ったんですか」
「えええ? 怒ってます」
どうして怒っているのか確認されているのだろう。
困惑していれば、遼雅さんがしばらくしてからまた、楽しそうに笑い声をあげてしまった。
「遼雅さん?」
「あはは、ごめんね。まさか、そんな可愛い怒り方だとは、思わなくて」
「可愛くはなかったと思うんですが……」
「無自覚なら、なおさら可愛くて俺は心配です」
反論をする暇もなく、もう一度リップノイズが唇の上に鳴らされてしまう。