半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
それは、ただただ悪く言いたいから声をかけてきた令嬢達とは、全然違った。
「そういえば、レイド伯爵夫人である『オウカ姫』には、たくさんの〝尾〟があると聞いた。お前はないのか?」
……とはいえ、相変わらず遠慮がない。
けれど、こうしてサイラスが、ずけずけ訊いてくるのも珍しい。いや、普段このように喧嘩以外で話すこともないから、リリアがそう感じてしまうのだろうか。
「私は人の姿では出ないわよ。あやかしの世界だと、十五歳はまだまだ全然仔狐だからだって言われたわ。でも、いきなりなんなのよ?」
「いや。耳がふわふわなら、尻尾はどうなのかと」
なんか、嫌な予感がする。
リリアは、自分を見据えているサイラスを前に、ごくりと唾を呑んでしまった。彼の見慣れない真面目な表情が、すごく気になってきた。
「…………まさか、耳じゃなくて、尻尾が本命なんじゃ」
思わず、おそるおそる確認してみた。
するとサイラスが、読めない顔をずいっと近付けてきた。
「ご想像にお任せする」
「何そのきちんとした言い方っ? 絶対考えてるでしょ! 尻尾を触りたいって!」
「俺は尻尾より――」
言い掛けた彼が、不意に口をつぐんだ。ハタと気付いたかのように、リリアからやや顔を離した。
「尻尾より、何よ?」
「いや、別に」
だから、別にって感じに見えないんだってば……。
「そういえば、レイド伯爵夫人である『オウカ姫』には、たくさんの〝尾〟があると聞いた。お前はないのか?」
……とはいえ、相変わらず遠慮がない。
けれど、こうしてサイラスが、ずけずけ訊いてくるのも珍しい。いや、普段このように喧嘩以外で話すこともないから、リリアがそう感じてしまうのだろうか。
「私は人の姿では出ないわよ。あやかしの世界だと、十五歳はまだまだ全然仔狐だからだって言われたわ。でも、いきなりなんなのよ?」
「いや。耳がふわふわなら、尻尾はどうなのかと」
なんか、嫌な予感がする。
リリアは、自分を見据えているサイラスを前に、ごくりと唾を呑んでしまった。彼の見慣れない真面目な表情が、すごく気になってきた。
「…………まさか、耳じゃなくて、尻尾が本命なんじゃ」
思わず、おそるおそる確認してみた。
するとサイラスが、読めない顔をずいっと近付けてきた。
「ご想像にお任せする」
「何そのきちんとした言い方っ? 絶対考えてるでしょ! 尻尾を触りたいって!」
「俺は尻尾より――」
言い掛けた彼が、不意に口をつぐんだ。ハタと気付いたかのように、リリアからやや顔を離した。
「尻尾より、何よ?」
「いや、別に」
だから、別にって感じに見えないんだってば……。