半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 契約の期限である十六歳を迎える前に、改めて話す席を設けたい。

 そして叶うなら、今度は本当の意味で、サイラスとリリアと婚約者としてありたかった。

 ……まさかレイド伯爵が、『庶民派でのんびり温厚』というイメージを覆す、まさかのまんま庶民派寄りだった、というのも驚いたのだが。

 でも嘘ではない。どちらも、確かに『庶民派』と言いくくれる。

 リリアより喧嘩っ早い。下町でよくあるような仲良しな乱闘や取っ組み合いにも、手慣れた感があったなと、サイラスは実のところ、胸倉を掴まれた時はヒヤッとしたのを思い出した。

「その前に、アグスティーナ派の最後の者達を黙らせる」

 カチリと目先に意識を切り替えて立ち上がる。

 サイラスが動き出したのを見て、脇に荷物を抱えてコンラッドが続く。

「殿下って、見栄っぱりなところもありますよねぇ。そして意外にも甘くいらっしゃる。学院を卒業したら、彼女を王宮に呼ぶからでしょう? ここまで徹底して反対派を抑えていっているところをみると、詫びも含めて、大丈夫だから嫁に来い、とでも告白したい考えですかね?」

 サイラスは、そう口にした彼を軽く睨み付けた。
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