半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「だから、いちいち言うな」
「ふふっ、こう見えて年齢は重ねている身ですので、殿下のことは弟子としても幸せを願っているんですよ」

 ……そんなのは知ってる。

 サイラスは、コンラッドほど、バカに人がいい男を知らなかった。当時、騎士団の方へ飛び込んだのは失礼だったのに、誰もが戸惑う中で一人だけ冷静に考えて。

『つまり〝師〟をお探しされている、と。いいですよ殿下。ご指名を受けたこの僕が、あなた様の魔法と剣の腕を磨きましょう』

 にこっと笑って、コンラッドはあっさりと引き受けた。

 彼は、持ち前の高位の魔法能力を自分の武器としなかった。魔法剣士団からも推薦があったのに断って、必要でない時はと剣技一本で好んで騎士団にいた男だった。

 それが三年前の話だ。あの笑顔での了承があってから、ずっと、今では魔法部隊をみているサイラスの副官としても、仕事のサポートもしてくれている。

 この先も、ご結婚されたら〝ご家族〟の護衛を任せてくれませんか、と言っていた。

 気の早い話だ。

 でもリリアと接触した後日の彼に、そんなことを言われたのを思い出したサイラスは、また若干赤くなってしまった頬を腕でぐいっと拭ったのだった。
< 256 / 301 >

この作品をシェア

pagetop