半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 そこで、こらえきれなくなったのか。森の方から半ばこちら側へと飛んできて、狐達が後ろからリリアへ声を投げた。

「ひ、姫様! 領地主になんて口の利き方を……!」
「そうですよ、もう少し穏便に――」
「格下は黙ってろ!」

 リリアが振り向きもせず吠えた途端、強い妖力に当てられた彼らが「はいいぃ!」と反射的に謝って小さくなった。

 持ち合わせている妖力は、今のところほぼ同等だ。

 アサギは、リリアとタヌマヌシの言い合いを、ニヤニヤと面白がって眺めていた。

「そもそも娘の結婚に協力したからって、八つ当たりのごとく向かってきたわけ? どんだけ小さいのよ!」
「小さいっていうな! ワシ、心はめっちゃデカいんじゃ!」

 ぎゃあぎゃあ言い合う二頭の妖力が、感情に煽られて大きくなっていく。

 ピシリッ、ピシリと、空気に亀裂音が混じり始めていた。大妖怪である化け大狸の影響を受けた紫色の妖力と、大妖怪の妖狐リリアの影響をまとった銀色の妖力が、大気を痛めながらぶつかっているためだ。
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