半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「カマルが可哀そうでしょう!? あーんなに小さな狸なのにッ」
「ワシだって可哀そうじゃぞ! 上の子はみーんなオスで、ようやく三十五番目に授かった娘が可愛くってたまらんのだ!」
「だーかーらー、娘の幸せ考えるんなら意地悪するなって話なの!」
「意地悪で結構! ワシは狐も化かした大狸ぞ!」

 頭上の空には、あっと言う間に禍々しい色をした雷雲が集まり、不自然にとぐろを巻いていた。一吠えごとに風が吹き荒れ、雷もがんがん落ち始める。

 タヌマヌシのたっぷりの妖力に反応して、地団太を踏むたび大地も揺れた。

 クワッとリリアが激昂を飛ばせば、容赦なく雷撃が走りまくった。

 尻尾に若干感電を喰らった狐が「あっちー!」と悲鳴を上げ、尻を押さえて後ろ足で空を走る。

「姫様! これ、領地上空でやったら、まずいやつですからね!?」
「ひぃええええ、大怪獣合戦みたくなってるうううう!」
「アサギ様なんとかして――っ!」
「ははは、うん、無理」
「もうヤだアサギ様ってS狐なんだもんんんんん!」

 うわーんと狐達が騒いでいる。

 ――だが、そんな小さなことなど知ったことではない、というのが大妖怪気質だ。
< 284 / 301 >

この作品をシェア

pagetop