恋する少女漫画家
講義終了のチャイムが鳴る。

あたしはあらすじを書いたルーズリーフをカバンの中に押し込むと、友人の小川礼子と12号館を出る。


空は雲ひとつない晴天。


もうすぐ梅雨入りだから、こんな空も当分拝めなくなるなぁ、なんて思いながら、キャンパスを突っ切って、学食へ向かう。


「写真同好会との合コン、やっぱり行く!たしか明日だったよねー?」

あたしの発言に、礼子はあからさまに顔をしかめた。

「江奈、彼氏どーしたのよ?」

「別れた」

あたしは即答する。

「だって、聞いてよ。生理だから今日はしないって言ったら、アイツ急に逆ギレして!ムカついて、その日はさっさと帰ったわけ。で次の日、部屋に行ってみたら、さっそく他の女、連れ込んでてさー。ったく、ヤるだけが目的かっつーの!はぁ〜、なんであたしって、こうも男運ないんだろぉ」

そうぼやくと、礼子は「アンタが相手のこと、よく知りもしないうちに、つき合うからじゃん」と、もっともな意見を言う。


自分でも、わかってる。


恋に貪欲でいたいと思う気持ちが、逆に、あたし自身を空回りさせてるって。
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