恋する少女漫画家
「そんな先のわかんない展開待ってたら、いつまでたっても恋愛できないって。とりあえずは明日の合コンにかける!いい男ゲットしなきゃ!景気づけにカツカレーの大盛りっと」

あたしは食券自販機に小銭を入れ、めあての券を手に入れた。
隣で礼子は「その切り替えの速さが、江奈らしーといえば江奈らしーけどねぇ〜」と笑っていた。


昼食の乗ったプレートを抱え、テーブルに戻る。

あたしの真向かいに座っている同学年の平田勇大は、あたしの皿を見るなり、「大盛りかよっ」とすかさずツっこみを入れる。

「なんか文句あるー?」

勇大をにらむと、あたしはカツカレーを口に運ぶ。


勇大は礼子と同じく高校からのクサレ縁で、気さくに話せる男友達の1人だ。

「お前、太るぞ」
勇大は、余計なひと言を口にする。

「うるさいなー。いーのっ。夕飯の量、減らすから!今はガッツリいきたい気分なのっ」

そう言い放つと、頭上から声。

「俺は好きだよ、江奈の食べっぷり。なんか気持ちーくらいスカッとする」



ドクッ…!



胸の鼓動が鳴り響く。


「亮二さんっ」


あたしは反射的にその名を呼び、彼を見上げる。
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