恋する少女漫画家
広瀬亮二。

商学部3年で、温泉同好会の部長。


ドクドクドク…


あたしはさとられないよう平静を装う。

いつからだろう。
そうやって亮二さんを意識するようになってしまったのは…。

そして、この高鳴りの源はなんなのか。


そんな考えが頭をよぎるたびに、あたしは無理やり思考を止めて、何も考えないようにする。

一種の自己防衛。

だって、答えがわかったところで、その先の展開は目に見えている。

自分に降りかかる現実が、どんなものか。


勇大は亮二さんに、「でも江奈のやつ、合コンでは、もう食べ切れない〜とか、飲めない〜とか言っちゃってんですよ」と、告げ口するように言う。

あたしはすかさず反撃に出る。

「あのねぇ、そんなの女はみんな言ってんのっ。てゆーか、腹黒くない女なんていないって。いい加減、気付いたらどーよ勇大」

「みんながみんな腹黒いとは、限らねーだろ」

「そんなヌルいこと言ってるから、彼女に2股かけられんのよ。あたしが忠告してやんなきゃ、全くわからずじまいだったじゃんか」
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