強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「一緒にまわる人いるよー」
「神風くんっ!?」
その声に反応したのはわたしではなく、わたしをバカにしてきたこの子。
いつからこんな近くにいたのだろうか……
突然の神風くんの登場に驚いたのはわたしも同じ。
「どうしたのー?」
なんだなんだと女の子たちがまわりに集まってくる。
これだと囲まれて逃げ道がなくなってしまう……
そう思ったわたしは、運良く見つけた隙間から輪の外へと逃げようとした。
「待って、澪」
「……っ!?」
そんなわたしの腕を掴んで引き止めたのはなぜか神風くん。
わたしの代わりに、まわりの女の子たちが小さな悲鳴をあげた。
叫びたいのはわたしの方。
なんだって、よりによって一番絡まれたくない人に引き止められてしまっているんだから。
「は、離して、神風くん」
そんなわたしの小さな声は神風くんによってかき消される。
「俺、学祭は澪とまわるからよろしくねーってことで澪のシフトは俺と合わせといて」
えぇ……っと?
困惑するわたしと一度落ち着いていたはずの悲鳴を再び大きくした女の子たち。
「行くよ、澪」
「……なっ」