あなたの願い、残酷に叶えます。
咄嗟に自分の身を守るように椅子の家で丸くなる。


しかし、それでも寒気は止まらない。


「なにこれ、なんの冗談よ！」


叫んだ瞬間、真美の画面の中に不意にあの女が出現したのだ。


ドアが開いたり、窓が開いた形跡はない。


音も気配もなく、本当に出現したのだ。


頭に布をかぶった女がジッと立っている。


真美はまだ気がついていないようで「イケニエにはなりたくない」と泣き続けている。


その間にも、部屋の中央あたりに出現した女は徐々に真美へと近づいているのだ。


「真美、後ろにいる！」


見かねた翔が叫んだ。


真美がハッとした表情を浮かべて勢いよく振り返る。


真美と女はすでに目と鼻の先の距離だった。


少し手を伸ばせば触れられる場所に女はいる。


それなのに……。


「な、なに！？　後ろにはなにもないけど」


と、真美が言ったのだ。


「何言ってんだよ、そこにいるだろ！」


翔が堅命に声を張り上げる。


しかし真美はブンブンと左右に首を振って「いない」と、繰り返す。
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