あなたの願い、残酷に叶えます。
その光景にあたしは大きく息を吐きだした。


吐き気がこみ上げてくるが、グッと押し殺す。


「これで、イケニエを捧げることができた……」


景子が呟き、グッタリと椅子の背もたれに身を預ける。


「うん。これで予定通りだね」


あたしは頷いた。


全身がグッタリと疲れていて、今すぐベッドに横になりたい気分だった。


翔も航大も、壮絶な光景に言葉を失っている。


「ちょっと、外の空気を吸いたい」


あたしはフラフラと立ち上がり、窓へ向かう。


ここはもう元の世界のはずだ。


予定通りイケニエを出したのだから、アレを行ったあたしたちは解放されるはずだ。


そう思い、窓に手をかけて力を込める。


「え……」


あたしは目を見開き、今度は両手を使って窓を開ける。


しかし、それはビクともしないのだ。


ハッと息をのんで外の景色を確認する。


すでに夕方近くなっているはずなのに、太陽はまだ高い位置にいて、人の姿も車も姿も見えない。


「嘘でしょ……」


重たい体を無理やり動かして、今度は部屋のドアへと移動する。
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