あなたの願い、残酷に叶えます。
「里奈に謝ってどうなる? 充男たちを殺していっているのは里奈なのか?」


航大が混乱した声を上げる。


あたしは左右に首を振った。


「里奈はショートカットだった。だからあれは里奈じゃないよ」


そう言っても、あたしの声は景子には届いていないようだった。


「ごめんなさい里奈、ごめんなさい里奈、ごめんなさい里奈」


両手を合わせ、ぶつぶつと念仏のように唱える景子。


「やめてよ景子! こっちまで頭がおかしくなる!」


あたしは両手で自分の頭を抱えて叫んだ。


イケニエは失敗した。


ならどうすればいい?


このままだと全員が殺される?


それを阻止する方法は?


グルグルと考えてみても、答えは出てこない。


あたしはその答えを知らないのだから、当たり前だった。


「キャア!」


途端に景子の悲鳴が聞こえてきて顔をあげた。
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