【新説】犬鳴村
犬鳴に残された二人がコーヒーでも買いに行っていた頃、孝夫は女と犬鳴峠の近くにあるラブホテルにいた。ホテルは見るからにいかがわしく築年数も分からないような古びたものだった。
客室の壁だけは張り替えられているのか、真新しいベルベットのワインカラーが妖しさを引き立てていた。
「ねー、孝夫」
「なんか?」
女は裸のままベッドの上でうつ伏せに枕を両手で抱え、タバコを吸っていた。タバコは今では見られない濃い紺色の円筒形の缶に入った両切りのタバコ(今のように吸い口にフィルターのないタイプ)。
「ねえ、今日クリスマスなんだからさあ、買い物か遊園地でも行こうよ。」
「あーうん」
孝夫はトランジスタラジオのイヤホンで競馬中継を聞いていていて、気の無い返事のままベッドの上で仰向けでタバコを吸っていた。
「何その気の無い返事は!」
客室の壁だけは張り替えられているのか、真新しいベルベットのワインカラーが妖しさを引き立てていた。
「ねー、孝夫」
「なんか?」
女は裸のままベッドの上でうつ伏せに枕を両手で抱え、タバコを吸っていた。タバコは今では見られない濃い紺色の円筒形の缶に入った両切りのタバコ(今のように吸い口にフィルターのないタイプ)。
「ねえ、今日クリスマスなんだからさあ、買い物か遊園地でも行こうよ。」
「あーうん」
孝夫はトランジスタラジオのイヤホンで競馬中継を聞いていていて、気の無い返事のままベッドの上で仰向けでタバコを吸っていた。
「何その気の無い返事は!」