もふもふになっちゃった私ののんびり生活

 おばあさんに水を届けた後は、ネネちゃんの無事も確認したのなら先に家に帰りな、というおばあさんの言葉で、診察を続けるおばあさんを置いて私は先に家に帰ることになった。

 その時に重症の人を全員診終わり、薬を飲ませ終えていたおばあさんに集会所の外へ呼び出され、しっかりと目を見て言われた。

 私が木枯らし病の責任を負う必要はないのだと。例えこの村以外の村で木枯らし病が流行っていたとして、その人数を考えて大量に薬草を採る必要はない、とハッキリ言われた。

 私がずっと今の生活を続けるなら何度木枯らし病が流行っても、毎回薬草を採るだろう。けど、私がいなくなったら?

 物事には、いいことの反面悪いこともある。一概にどちらがいいとは言えない。

 ふとそんな言葉が頭をよぎった。人の命にかかわることだ。良くも悪くも私の感情だけでどうこうする問題でもなかったのだ。

 木枯らし病は何年かに一度は流行る病気、ということは何度も繰り返し流行った病気なので、対策を立てて指揮をとるのは領主だ。そこに今回は私が良かれと思ってやったことだが横やりを入れてしまった。
 そのことで初動が早まり助かった命もあったが、これ以上はセフィーの手を借りられる私が手を出すべきではないのだ。

「わかりました。じゃあ、予定どおり今回も家に二泊して、その間に無理なく採った薬草だけ持って行きますね」
「ああ、それでいいよ。……すまないね。本当はただありがとう、とだけ言えれば良かったんだけどね」

 おばあさんが私のことを考えて言ってくれたことはちゃんとわかっている。 

「いいえ。いつも助けてくれて、ありがとうございます!すいませんが、アイリちゃんにネネちゃんは無事だと伝えてくれませんか?」

 今まで持ち込んだ薬草を、おばあさんとヴィクトルさんは何も言わず私の名前を出さずに各方面と対応してくれていた。私のような子供が表に出ていたら、今頃ろくなことになっていなかったよね。

 それからヴィクトルさんはおばあさんに私を送った後は村へ戻って来て街へ送れ、と言われて言い合いになっていたが、二人で村からいつもとは違うルートを通って薬草を採りながら結界へと向かった。

 その途中からヴィクトルさんが獣姿に変化して乗せて移動してくれたのだが、二つの採取場所を周って休憩している時に好きなだけ撫でていい、と言ってくれた。
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