もふもふになっちゃった私ののんびり生活

 この世界に転生してから一年以上経ったが、その間考えることといったらその日に何を食べるかや、せいぜいこの場所のことだけだった。
 そこに急にたくさんの情報が入り、頭が混乱している。

 とりあえず、もう一度自分の姿を確認しようと紙から離れて鏡の前に立つ。

 狼と狐を足して割ったような外見だと知って見てみると、顔が横に広めなのに口元がシュッとしていて口も大きくないから牙もあまり目立たない処はいいとこどりなんだね。尻尾が長いのにふと目でふっさふさなのも、耳が大きいのもそう考えるといいとこどりでいい感じだ。

 うん、とりあえず神様、ありがとう!ちょっと小型過ぎる気もするけど、成長して三メートルになるよりはいいかな。このまま可愛い感じだったら、ほとんど犬みたいなものだよね!それに魔獣は知性があって、人化も出来る種族がいるなら私だけ浮く心配はなさそうで良かった!

 獣の身体に人の精神がある今の状態が、この場所から出た時にどう人に映るのか心配もあったので、それが大丈夫そうだということが一番ホッとした。

 なんだか自分のことを知れて安心したし、既に色々知ったから今日はもういいか、と思ってしまったが、神様からの手紙が明日には消えてしまっているかもしれないと紙の前へと引き返す。

 読んだら無くなる、というのもお約束だし、この紙は他の人の目に入ることなく消えるだろうと直感が告げていたのだ。読み終わるまでは消えないとは思うが、時限式な可能性も捨てきれない。

 続きを読んでみると。
 人化して人としての暮らしを選ぶのも、獣として生きるのも私の自由だけど、人としても生きられるようにこの家を用意した、とあった。

 やっぱりこの家は私の為の物だったんだ……。本当にありがたいな。でも、今はまだ小さいし、とりあえず当分はこのまま四つ足の獣状態でのんびりごろごろ過ごす予定だから、人のベッドよりも犬用の寝床が欲しかったな。

 飼っていたミケが、間違って買った犬用のベッドで、とても気持ちよさそうにぬくぬく寝ていた姿を思い出していると、背後で急にポスンと何か軽い物が落下した音がした。

 ビクッと飛び上がり、ビクビクしながら恐る恐る音がした方へと近づいて行くと。

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