もふもふになっちゃった私ののんびり生活
まあ、まだまだ幼獣だし。先のことだよね!
ちなみにシルビィーの詳しいことは本にしてこの家の書棚に入れてあるから、文字を勉強して自分で読むように、ってことだったけど、とりあえず最初の三年は幼獣のままだともあった。あと二年はほとんど成長しないままらしい。
だからあと二年はコロコロ転がるのが仕事なのだ!このぷにぷにした小さな身体でできるのは食べて寝て、走って飛んで転がるくらいだしね!
今は人化してもよちよち歩きの幼児だろうけど、とりあえず一度は人化を試してみようかと思い、神様が教えてくれた方法を思い返してみる。
ええと。確か……今の身体を構成している魔力を構成しなおして人の形にする、だったっけ?
……あれ?私、自分の魔力が分からないんだけど!!
うーん、うーん、と唸っていると、ポトンと頭に小さなメモ紙が落ちて来た。
……神様。凄く丁寧なアフターサービスをありがとうございます!
メモ紙を読む前に、五体投地で神様を拝んでみた。……上から見たら、手足が短くて胴体がぷにぷになんだろうな。よし。読んでやってみよう。
メモには魔力の感じ方が懇切丁寧に解説してあったが、魔力をはっきりと感じたことのない私が何度もチャレンジしてもダメでぐったりしていると、お腹がクーと主張した。なので扉の小さな扉から外へ出ると、また低木の果樹へと向かう。
この果樹も神様が用意してくれたってことだよね。本当に細かいところまでありがとうございます!
うまー、うまーとまた思う存分食べ、ぽっこり膨らんだお腹を上に、その場で昼寝した。
少し肌寒くなって目を覚ますと、低木の果樹の間からぴょんと飛び出してそのまま精霊樹の元へと向かうとお座りして精霊樹を見上げる。
精霊樹は魔力を発生させているんだよね。この木に触れたら、魔力を感じられるかな?
よいしょと木の根を登り、後ろ脚で立ち上がり前脚で抱き着くように木の幹にピタッとくっついてみた。そしてそのまま目を閉じる。
すると、この場所に近づくにつれて感じていた優しい気配を精霊樹から感じた。
ああ……。私をずっと見守ってくれていたのは、神様ではなく貴方だったんだね。
ふうーと吐いた息を、ゆっくりと木の香りを息とともに吸い込む。何度も繰り返していると、キラキラとした何かが呼吸と共に身体に入り、身体中に染み込んで同化していくのを感じた。
ああ、これが魔力か……。