【完】イミテーション・シンデレラ

その静綺は大学生の頃真央達の暮らす芸能事務所の寮でアルバイトをしていた。 そこから何となく4人で集まる機会は自ずと増えた。 だから昴と一緒に居るだけ。

今日も世話好きの静綺の発案で、私のSARARA卒業祝いをしようとの事で皆で集まった。

私を含め、昴も真央も人気芸能人だから集まりは深夜になってしまったが。現在時刻は、0時を回ったばかりだ。

「それにしてもSARARAの人気はすっごいよねー…!ニューシングル、また1位だって。 歌手だってCDが売れない時代なのに、本当にすごいと思うよ。
配信でも1位だってさー」

携帯を手にして、昴は感心しながら言う。

…面白くない。 SARARAのニューシングルは、私が卒業後に発表されたものだ。

つまりその楽曲に私は参加していない。 新センターは、大嫌いな梨々花だった。 それだけでも面白くないのに、私が居なくともSARARAのシングルは飛ぶように売れている。
 
元々ここ数年は、私が単独センターだった訳ではない。梨々花がセンターになったり、ダブルセンターだったりしていた。

だから私と梨々花はグループ内でよく比較された。 ’SARARAのセンターは岬じゃなくて梨々花が相応しい’ その言葉をネットの片隅で見つける度に、心は病んだ。

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