【完】イミテーション・シンデレラ

にまにまと笑う有菜と照れくさそうに頬をかく類くん。
ふたりがレギュラー番組の共演者だと知ったのは、つい最近だ。

有菜は現役時代からトークが秀逸だった。 ので、現在はバラエティー番組のレギュラーをいくつか抱えていて、卒業してからも活躍しているメンバーのひとりだ。

リーダーを努めていただけあって、とてもしっかりしている。 歯に物着せぬ言い方をする彼女を使いたいってテレビ局やプロデューサーは少なくはない。

そして裏表のない気の良い性格だから、私とも仲良くやれる。

「もー…今岬ちゃんとふたりで話してるのにさー」

「へーへー邪魔者は退散しますよぉっと。
あ!あれCSEテレビのお偉いさんだ!
挨拶してこなくっちゃ!」

それだけ言い残して、有菜は行ってしまう。

私と違って、現役時代から器用なタイプだった。プロデューサーさんや番組のお偉いさんから気に入られるのが上手で、着々と芸能界での地位を獲得していた。

いい意味でアグレッシブ。この業界でやっていくんだって本気はいつも伝わっていた。

それに比べて私はどうだろう。 アイドルを卒業して、何の為に誰の為にこの仕事をしているのだろうか。

嬉しい事は、たった1割で後は辛いだけのこの世界に固執する理由はあるのだろうか。

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