【完】イミテーション・シンデレラ

類くんはビールを飲みながら、爽やかな笑みを浮かべる。 きっと彼だって言わないだけで、辛い事やこの世界を止めたいと思った事だってあるんだろう。

「岬ちゃんはもう歌はやらないの?」

「んー…だってソロの歌手って実力がないと売れないじゃないですか。
それこそ西園寺さんみたいな人じゃなきゃ…」

「えー…俺岬ちゃんの歌好きだったけど。」

「まあ、口パクでしたけどね。」

「口パクでも全然良いと思うけど。
最高のパフォーマンスを見せる為なら」

「と、いうか…実は私もうこの業界にそこまで未練がないっていうか
私ってアイドルになりたい人だったから、アイドルを卒業してしまったら何でこの業界にいるのかって疑問に思っちゃう日も多くて
だから正直これからもずっと芸能界に居る自分の姿は想像出来ないんです」

ぽつりと漏れた本音。
類くんはグラスを持っている手をぴたりと止めて、意外そうな顔をしながら目を丸くする。

「芸能界以外でやりたい事あるの?」

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