【完】イミテーション・シンデレラ
「そんなの、ちょっと岬らしくない。 この仕事好きじゃん。
つーか、結婚する相手なんて居るの?」
その言い方にムッとする。 どーせお前みたいに性格の悪い女には、相手すらいないんだろってか? まあ間違っちゃいないけど。性格が悪いのも、相手が居ないのも。
フンッと顔を背けて「そんなの居ないけど!一応アイドルのセンターで人気あったんだから、相手なんてすぐ見つかるでしょう!」と言葉を投げ捨てるように言う。
するとムッと昴は顔を少しだけしかめた。
「そういう投げやりなのって良くないと思う」
「別に投げやりってわけじゃないもん! つーか昴には関係ないでしょう?!
私が芸能界を止めようと、誰かと結婚したって!」
「関係あるよ」
言葉をかぶせるように、少しだけ大きな昴の声が狭い室内に響く。
しかめッ面のまま、ジッとこちらに目を向ける。
こんなに必死になる昴も珍しい。いつもは冷静な方なのに。
喜怒哀楽の激しい私を、たしなめる役はいつも昴だったのに。
関係あるってどういう意味よ、そう訊こうと思った瞬間、ガヤガヤとした騒ぎが扉の外から聴こえてきて、個室のドアが乱暴に開けられる。