【完】イミテーション・シンデレラ

倒れるのも、歩み続けるのも地獄であるのならば、俺は歩み続ける道を選ぶだろう。 どんなに辛くとも。

そして俺と同じようにこの世界で苦しんでいる人間が居る。

南条岬と出会ったのは、真央との繋がりだった。
出会った頃、岬は既に国民的アイドルグループを牽引するトップアイドルだった。

10年に一人の逸材だと世間は彼女を持てはやした。 真央を介して、一緒に居るようになって仲良くなって沢山話も聞いているうちに

順風満帆に見えていたアイドル人生の中でも、挫折を何度も味わい、トップに居る今だって怖いと震える小さな女の子に少しだけ親近感がわいた。

夢の様なシンデレラストーリー。 ステージの上で見せる笑顔の裏に、落とした涙は数知れず。
’自分には才能は無い’そう言い嘆く彼女を前に、何度だって言ってやりたかった。

この世の中に、岬のステージを見て、岬の笑顔を見て、救われている人間がいる。 真剣になっている者にしか見えない景色がある。 それをきっと君は見続けて来ただろう。

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