かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


「そういう……?」
「見た目のイメージと少し違うように感じたから」

指摘され「そうですか?」と首を傾げる。

そんな風に言われたのは初めてだった。
私は昔から気が強そうに見られるし、実際にも恐らくそうだ。

「綺麗な顔立ちしてるから一見、とっつきにくい感じがするけど実際に話すとそうでもないっていうのかな。ハキハキしてて話しやすい」

外見を褒められたことは今までにもある。
それでも、こんなふうに正面からの褒め言葉はどう対処すればいいのかわからず、「……ありがとうございます」とだけ言い、視線を逸らした。

二重の目や、ツンとした鼻、ピンク色の唇。白い肌も、茶色がかった猫っ毛も、周りから言わせれば、〝恵まれた容姿〟だとは分かっていたけれど、残念ながら私にはそれを生かすだけの器用さはない。

素直になったり甘えたりするのも苦手だ。ついでに言うと、近づいて優しくしてくる男性も下心があるように思えて一線引いてしまう。

なので、これまでにそういう関係になった男性はおらず、それも陸の過保護さを助長している気がした。


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