かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました
私が配属されている預金事務部門と企業リサーチ部門は仕事上のつながりはまったくない。
だから、桐島さんの噂を聞くことはあっても、今後関わるような人でもないし……と特に興味も持たずに今日まできたのだけれど。
人の縁は、思わぬところで繋がっているものなのかもしれない。
「違う、誤解だよ。興味のない子と付き合う気にはならないから、告白に持って行かせないようにしたり、告白されても全部断っていたらいつの間にかそういう噂がたてられてたってだけで、恋愛に関してはノーマルだから」
やや呆れたように眉を寄せ笑った桐島さんが続ける。
「でも、そういう噂が流れてることは知ってたけど、まさか信じてる子がいるとは思わなかったな」
少し挑発的な雰囲気を感じてムッと口を尖らせる。
バカにされた気がした。
「別に……もちろん、私だって本気で信じてたわけでもないですけど」
「どうかなぁ」
「嘘じゃありません。桐島さんとは話したことがなかったので、その可能性も捨てきれないかなって考えてただけです」