東京ヴァルハラ異聞録
「す、昴……大丈夫か!?」
「何とか……水の中の方が動きやすいくらいです」
篠田さんが俺を心配して、近くまで来てくれた。
「運良く流れが西軍に向かってるな。このまま流されて行けば、帰れるはずだが……結局助けられなかったか。情けねぇな」
そう呟いた篠田さんに、俺は何も言う事が出来なかった。
御田さんと篠田さんは問題がなかったはずだ。
俺が弱かったから……梨奈さんは殺されてしまったんだ。
なんて、考えている余裕もなくなってきた。
「し、篠田さん……そろそろ体力の限界が……」
「お、俺に言うな!俺だってそんなに泳ぎは……」
岸に向かって泳ぐにも、そこまで持つかどうか。
二人で必死に泳いでいた時だった。
バシャバシャと派手な音を立てて、背後から何かが迫って来ていたのだ。
「お前ら!大丈夫か!?」
それは、御田さんだった。
川の岸に停めてあった船に乗り、斧で漕いでいたのだ。
はは……武器でなんだって出来るもんだな。
だけど、助かった。
近くに来てくれた御田さんに引き上げられ、俺と篠田さんはぐったりとして北軍の街を見ていた。
自分の無力さを痛感しながら。
「何とか……水の中の方が動きやすいくらいです」
篠田さんが俺を心配して、近くまで来てくれた。
「運良く流れが西軍に向かってるな。このまま流されて行けば、帰れるはずだが……結局助けられなかったか。情けねぇな」
そう呟いた篠田さんに、俺は何も言う事が出来なかった。
御田さんと篠田さんは問題がなかったはずだ。
俺が弱かったから……梨奈さんは殺されてしまったんだ。
なんて、考えている余裕もなくなってきた。
「し、篠田さん……そろそろ体力の限界が……」
「お、俺に言うな!俺だってそんなに泳ぎは……」
岸に向かって泳ぐにも、そこまで持つかどうか。
二人で必死に泳いでいた時だった。
バシャバシャと派手な音を立てて、背後から何かが迫って来ていたのだ。
「お前ら!大丈夫か!?」
それは、御田さんだった。
川の岸に停めてあった船に乗り、斧で漕いでいたのだ。
はは……武器でなんだって出来るもんだな。
だけど、助かった。
近くに来てくれた御田さんに引き上げられ、俺と篠田さんはぐったりとして北軍の街を見ていた。
自分の無力さを痛感しながら。