東京ヴァルハラ異聞録
「群れなきゃ何も出来ねぇ雑魚共が……ピーチクパーチクさえずってねぇでかかってこいや!!俺を殺れると思ってんのかコラ!!」


篠田さんの咆哮に、強気だった北軍が後退る。


「やめるんじゃタケさん!これ以上はお前の身体が持たんぞ!」


「この程度で悲鳴を上げるヤワな身体じゃねぇ……俺がやる!英太さんは昴を連れて行ってください!!」


「くっ……こうなったら仕方ない」


そう言って、御田さんは篠田さんに近付くと、背後から腕を回して身体を捻るようにして、篠田さんを橋から投げ落としたのだ。


「う、うおおおおおっ!?」


篠田さんの声が聞こえる。


「ほれ、次はボウズの番じゃ!上手く飛び込めよ!」


俺を抱えながらそう言った御田さん。


心の準備もないまま、俺は橋から落とされた。


「わ、わわっ!!」


「さて、二人が安全な場所に行くまでワシがお前らの相手をするとしようか!さあ、かかってこんかい!!」


ドボンと川に落ち、慌てて水面に浮上し顔を出す。


いくら俺と篠田さんが怪我をしてるからって、川に落とす事はないだろうに。


流されて行く中、橋の上で御田さんが戦い続けている姿が見えた。
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