東京ヴァルハラ異聞録
まるで、「その時」を知っているかのような口ぶりに、桜井の表情が曇る。


恵梨香さん達が、以前にも同じような世界で戦っていたというのは知っていた。


きっと、今回も同じ事が起こるのだろう。


「どうしてそれを知っているの?まるで見て来たかのような口ぶりだけど」


「ふむ、そうだな。私、名鳥、明と雪子は、以前も同じような街で戦っていた。その時、今回と同じようにバベルの塔を目指したのだ。結局、ヴァルハラなどという街が出来てしまったが……終わらせてみせる。今度こそ。お前達の力を借りたい理由は、最後の戦いに必要だからだ。これ以上の説明が必要か?」


恵梨香さんの説明に、少し戸惑ったようだったけど、桜井達はなんとか納得したようで。


「それが本当なら……私達が断る理由が見当たらない。街にポーンが溢れたら、戦えない人達や弱い人達が犠牲になる」


「そういう事。バベルの塔に挑んでる人間も、外で戦ってる人間も、命を賭けて戦わなきゃならないけどね。だけどその価値はあるはずだね」


名鳥が恵梨香さんを後押しする。


一度バベルの塔に挑んだ人達が言うと、不思議な説得力があるな。


言葉に……と言うよりも声に。
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