東京ヴァルハラ異聞録
~西軍・神田~

「くっ!当たりが強いっ!!美姫さん!しっかり防いでください!!」


「そんな事言ったって……一撃が強すぎるよ!!」


千桜と美姫。


二人は、敵の攻撃を何とか防ぎながら、これ以上秋葉原の方に進行させないように踏みとどまっていた。


だが、二人が戦うには相手が悪すぎる。


長さにして30cmほどのハンマーを持った大柄の男が、のそのそと二人に向かって近付く。


「なんなんだお前らは。俺はただキングの場所を聞いただけなのによ」


赤いニットキャップを被った、お腹が出た男、伊良王毅(イラ オウキ)。


千桜と美姫の事など、自分の周りを飛び回るハエ程度にしか思っていないだろう。


「キングの場所なんて教えるわけがないでしょう!あれだけは破壊されるわけにはいかないんですよ!」


「わかってないなあ。場所を教えないなら、お前らを殺して勝手に探すだけだろ?見たところ、お前らは確かに強いけど、この『ミョルニル』の相手じゃない」


ハンマーを二人に向けてそう言うと、軽くそれを投げ付けた。


軽く……のはずなのに、猛スピードで美姫に迫る!


「こ、来ないで!!」


手を前に出し、強く念じると、そのハンマーはピタリと動きを止めたが、その直後すぐに伊良の手に戻ったのだ。
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