東京ヴァルハラ異聞録
「……俺に傷を負わせたやつは久しぶりだな。だけどこんなんじゃ致命傷にはならないな」


破れた服の下に見える傷。


そこから流れる血を親指ですくい、ペロリと舐めて見せた。


「随分余裕じゃないか。おい、北浦。手っ取り早くメシを食って来い。全力でこいつを止めるぞ!」


「う、うん!待ってて!」


橋本の言葉に、鼻血を拭って頷いた美姫。


近くにあるコンビニへと走った。


「今からメシかよ。いいな、俺も食いたいけど、今糖質制限中だから悩むんだよなあ……」


戦闘中だと言うのに、意識がメシに向いた伊良。


「おい、よそ見をしてるんじゃない。メシを食いたけりゃ、俺を倒してからにするんだな」


自分を見ていない伊良を見て、少し苛立ったのは確かだった。


だが、次の瞬間橋本はその意味を知る。


「そうだな。そうさせてもらおうか」


橋本に視線を戻し、ミョルニルを大きく振りかぶった伊良は、全力でそれを投げ付けたのだ。


先程までの攻撃とは一線を画す威力!


「!?」


動きが遅い伊良を見ていたからか、このミョルニルは異常な速度で。


マクアフティルで防ごうと、自身とミョルニルの間に滑り込ませたが……その威力は、橋本の想像を絶するものだった。
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