東京ヴァルハラ異聞録
「こ、このっ!!」


直樹も美佳に続いて風火輪を投げ付けるが、川本が両手を顔の前で交差させ、腕を広げると同時にそれらは弾かれたのだ。


「は?」


渾身の攻撃をあっさりと弾かれ、呆気に取られた直樹に、川本が距離を詰める。


「残念だったな下衆野郎!!私は……お前に殺られるほど落ちちゃいねぇんだよっ!!」


「え!ちょ……待っ……」


握り締めた川本の拳が、直樹の腹部にめり込む。


体内で何かが弾けるような音が聞こえ、背中が裂けて血と内臓が飛び出した。


「あ……へ……」


力の差は歴然。


元より直樹など相手にはならなかったが、それは美佳にも恐怖を与えた。


「お前らなんて相手になるか。あの時は三宅がいたから負けたんだ。それを、自分の力だと勘違いなんかするんじゃない!!」


隣にいた美佳を、殺意に満ちた目で睨み付けた川本。


その迫力に、美佳が気圧されないわけがなかった。


だが、恨みと憎しみが美佳の身体を動かした。


「ふ……ざけないで!!」


弓を横に振り、川本の横っ面を張る。


が、ダメージはほとんどなく、弓が当たったまま川本は美佳を睨み付けたのだ。
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