東京ヴァルハラ異聞録
何かに呼ばれた気がした。
東軍から西軍に戻る途中で、俺を呼ぶような感覚。
皆と別行動を取って、この感覚に導かれるままにやって来たら、川本と美佳さんが戦っている。
「えっと……どうしてここに川本が?マスターまで」
美佳さんは西軍の人間だから、どこにいてもおかしくはないと思うけど……もしかして、西軍に侵攻をしているかもしれないという予想が当たっていたのか?
「す、昴……あんたこそどうしてここに」
「いや、誰かに呼ばれた気がして。いや、まさかな。両国からだと距離があるし、大声を出しても聞こえないだろうから」
俺がそう言うと、川本は顔を真っ赤にして。
照れたように顔を背けた。
俺、何かおかしな事を言ったかな。
いや、それよりもこの状況をどう見る。
マスターと川本が西軍に侵攻してきたと言うなら、美佳さんを助けるべきだろうけど。
「昴……くん。結城……昴。私の大切な人達を奪った敵!!死ねっ!!」
そう考えている間にも、美佳さんの表情が怒りに満ちて。
素早い動きで矢を取り出すと、目の前の川本を無視して俺に矢を放ったのだ。
話を聞かなきゃわからないけど、どうやら美佳さんは味方というわけではなさそうだ。