東京ヴァルハラ異聞録
手にした日本刀で矢を弾き、二人に向かって歩き出した。


「川本、これはどういう事だ?桜井から聞いたけど、南軍がなくなって西軍に逃げた人達は、西軍を制圧しようとしている可能性があるって」


話している間にも、美佳さんの矢が何本も俺に襲い掛かる。


だが、俺にしてみればそんなものは、止まっているに等しい速度だ。


大友とは比べ物にならないくらいに遅い。


「そ、それは……伊良さんと朝倉さんはそのつもりだよ。でも、私とマスターは昴を頼ろうと思って」


つまり、西軍を制圧しようとする事は踏み止まってくれたって事か。


伊良と朝倉。


東軍で聞いた時にも名前が上がった二人だ。


「はぁ……はぁ……当たらない。どうしてよ。あんたは私と同じ時にこの街に来て、そんなに強くなかったのに!!どうしてそんなに強くなったのよ!!これじゃあ私がバカみたいじゃない!」


攻撃が当たらなくて諦めたのか、弓を下ろしてガックリと地面に膝を突いた美佳さん。


「強くならなければいけなかったんですよ。この街にいる人達全員を元の世界に戻す為に。俺にしか出来ない事があるってわかったから。色んな人達の想いを受け継いだから」
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