ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目
「綺月は、このクラスの女子の中で、
誰とならキスできる?」
「なんだよ、それ」
「俺だったら、美咲とか、久美……
声まで可愛い明日華ならサイコーだな」
「和は、好きでもねぇ奴とキスできんのかよ?」
「俺、立花以外となら、キスできるかも」
私……以外……?
和明君の口から突然出てきた、私の名前。
「和。ストライクゾーン、広すぎじゃね?」
「アハハ。俺も、そう思う」
和明君の笑い声が、教室中に響いて
教卓の下に隠れている私の耳にも、
容赦なく侵入。
私の心の中まで、許可なく入り込んできて
『クラスの嫌われ者』という現実を、
刷り込んでいく。
和明君と、キスしたいわけじゃない。
むしろ、誰ともキスなんてしたくない。
でも……
バイキン扱いされているみたい。
みじめで。
泣きたくなる。