東京ルミナスピラー
首のない身体が立ち上がり、奇妙な線が四本、分かれるように弧を描いて空に伸びていたのだ。


そして……突然首が生え、その場で屈む杏子を見下ろしてニヤリと笑って見せたのだ。


「あ……」


気付いた時にはもう遅かった。


黒井の腕が、地面を這うようなアッパーカットのような攻撃を放った。


普通のアッパーカットとは違ったのは、その拳が鋭く尖っていたこと。


杏子の身体はそれに貫かれ、身体を持ち上げられて宙吊りになってしまったのだ。


「あ、杏ちゃん! や、野郎! よくも杏ちゃんを!」


「ま、待って伊良っち。何か……おかしくない?」


頭上から聞こえた美空の声に、確かに感じる違和感の正体を伊良は考えた。


そして、すぐにその違和感の正体に気付いたのだ。


「お、おい……なんでだ? 杏ちゃんはソウルストーンが満タンあったはずだぞ? 心臓を一突きなら、光の粒になってもいいはずだろ……」


そう。


黒井の腕に貫かれた杏子は光の粒に変化することはなく、命が尽きた者のように、静かなる死を迎えたのだった。


腕を振り、伊良の方へと杏子を投げ飛ばした黒井。


足元に転がった杏子の亡骸を抱えて、伊良はそっとその顔に頬を寄せた。
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