東京ルミナスピラー
『ほんの少しだけ……皆の願いの力を借りて、蘭子は皆の前に戻ることが出来た』


頭の中に響く、PBSの通信のような声。


聞き間違えるはずがない。


この声は間違いなく蘭子だ。


「くっ! 蘭子! お前はもう用済みなんだ! 未練がましく出てくるんじゃない!」


ビショップが吠え、蘭子に向かって左の拳を放つが、蘭子を通り抜けてしまう。


実体じゃない……願いの力から生まれた思念のようなものか?


そうか……人も鬼も、死んだら光の粒に変わる。


あの光の粒は願いの強さだ。


それがバベルの塔の頂上に集められて、ひとつの大きな力になる。


その力で願いが叶うんだ。


父さんと母さんの記憶。


そしてこの街で学んだ知識が、ここでようやく繋がった気がした。


「蘭子……お、俺は……お前を助けてやれなかった。お前に酷いことを……」


『泣かないで宗司。蘭子は信じてるから。いつかまた、巡り会ったら……お嫁さんにしてね』


宗司をそっと抱き締めるように通り過ぎ、こちらに向かって歩いてくる。


「消えろ! 消えろ! 怨念が俺の邪魔をするなっ! お前は死んだんだ!」


何度も何度も蘭子に殴り掛かるが、蘭子には全く効果が無かった。
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