東京ルミナスピラー
返り血を浴びる前に、ビショップの身体を蹴ってその場を離れる。


だが、空中で待っていたのはビショップの右腕だった。


左腕がダラリと垂れ、今にも千切れそうになっている中で、最後の最後まで戦いの意思だけは捨てていなかった。


さっきのビショップの目は、確実に戦いを止める目だと思ったのに。


巨大な手が迫る。


「気を抜くなバカ者が!」


そんな俺に、舞桜が体当たりをして後方に弾き飛ばした。


代わりに舞桜の腰から下が掴まれて。


血塗れの手。


溶けている苦痛に顔を歪めながら、PBSで回復しつつ耐えている。


「最期の足掻きだ! こいつの胴体を斬れ! 私ごとバベルの塔の最下層まで叩き落としてやるんだ!」


その提案に、またも俺の心が揺れる。


「ダメだ舞桜! まだ助かる! 自暴自棄になるな!」


「お前こそ私を舐めるな! こんなやつと心中するつもりなどない! 私を信じろ!」


その言葉に、信じられることなどひとつもなかった。


ひとつもなくて、舞桜が死ぬ気なのはわかっていたけど、あの血塗れの手に掴まれて助かるはずがない。


回復も気休めなのはわかっていたから。


俺はビショップの胴体、蛇の部分に目を向けた。
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