東京ルミナスピラー
あれから、どれくらい時間が経ったのだろうか。


やっと天井が……階段の終わりが見えて、俺の足は早くなった。


階段を登り切った俺を待っていたのは……何もない円形の部屋の中に立つ、見覚えのある浮浪者のような男。


「……と、父さん」


俺の声に反応して、ゆっくり振り返ると微笑んで見せた。


「俺を、父さんと呼んでくれるのか葵。何もしてやれなかった、ただ逃げてただけの俺を」


「わかったんだ。父さんは俺達を捨てたわけじゃないって。父さんは……俺と母さんを守る為に……」


心が苦しい。


結局俺は、父さんと母さんに守られていただけで、何も出来なかった無力な子供だったんだ。


「その様子だと知ってるんだろう? 俺はもう……」


「わかってる! わかってるから……言わなくても良いんだ」


父さんは……脳だけになってこの頂上にいる。


つまり、今、目の前にいる父さんは、俺達と同じ魂の存在ということになる。


「……この塔の頂上には、クイーンがいる。クイーンに認められた者だけが、その願いを叶えられる。お前にその資格があるか、試練の時だ。葵」


父さんがそう言い、俺に背を向けると、父さんの影からライダースーツにドクロのヘルメットの女の人、そして……学ランを着た俺と同じくらいの歳の男が立っていたのだ。
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