30歳のクリスマスソング
 縁台の下は狭くてふたりが体育座りすると膝と膝がぶつかる程。頭を(かが)めて頬と頬が触れ合う距離でドキドキとときめく心。


「アンタ余裕かまし過ぎやない?」
「大丈夫だって…」
「シッ!」


 リョウの口に人差し指を当てるとまたキスしてきた男。ドアハンドルをガチャガチャと回す音が響く。


   ーーほーら、誰か入ってきたじゃん
   ーー大丈夫やって


中を見て回っているような音が一歩一歩近づいてくる。それにつれてリョウの手を握っていたアタシの指が震えだす。


そしてその足音がすぐそばでピタッと止まったと思うと、その背後からまた別の男の声がした。



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