翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「傘、もしかして宮辺君に届けるとこ?」
無地の紺色が男の子用だし、向かっていた先がA組だと気付いたのか、奥寺さんはちょっと首を傾げてそう言った。
「そうだけど……」
不安になって傘を胸に抱きしめた。
なにもかもを、奥寺さんに取られてしまいそうな気になる。
「渡しとこうか?」
「えっ……」
「冗談だよ、そんな意地悪言わないって」
いつもの余裕のある笑顔。
私は恥ずかしさで顔が赤くなる。
「宮辺君なら帰ったよ。代わりに今早退届け出してきたとこ」
「早退って……なんで?」
頬にかかった綺麗な長い髪をそっと耳にかける彼女の仕草が、すごく大人っぽくみえた。
「私のせいなの」
彼女の小さな呟きは、吐息みたいで。
「どういうこと?」
私の声は余裕なく震えてる。